| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄名 | 株式会社フルヤ金属 (Furuya Metal Co., Ltd.) |
| 証券コード | 7826 |
| 時価総額 | 719.80億円 |
| 配当利回り | 2.12% |
フルヤ金属は、白金（プラチナ）を中心とした希少貴金属を産業用に加工する工業用貴金属製造のリーディングカンパニーです。プラチナ、パラジウム、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属を利用した高付加価値製品を製造しています。
主要事業領域：
1. 薄膜事業
スパッタリングターゲット（半導体製造用）を製造。半導体業界での微細加工に不可欠な高純度製品を提供し、競争優位性を確立しています。特に有機EL燐光材用原料で世界トップシェアを誇ります。
2. ファインケミカル・リサイクル事業
貴金属リサイクル技術を活用し、環境負荷を低減しながら希少資源を循環利用。サステナビリティの観点から今後さらに重要性が増す分野です。
3. サーマル製品事業
熱電対など、高温測定に使用される精密機器を製造。産業用途で幅広く採用されています。
同社の製品は、半導体、電子部品、化学触媒、医療機器、自動車（特にEV）、再生可能エネルギーなど、多岐にわたる産業で重要な役割を果たしています。
💎 半導体市場の回復・拡大
生成AI、データセンター、5G通信の拡大により、半導体需要が急増しています。フルヤ金属のスパッタリングターゲットは半導体製造に不可欠であり、微細化が進むほど高純度製品への需要が高まります。同社の技術力と品質は業界で高く評価されており、半導体市場の成長を直接享受できる立場にあります。
⚡ EV（電気自動車）・再生可能エネルギー市場
EV用バッテリーや燃料電池、太陽光パネルなどには貴金属材料が必要不可欠です。世界的な脱炭素の流れにより、再生可能エネルギー市場は今後10年で倍増すると予測されており、フルヤ金属の成長を強力に後押しします。
🌍 グローバル展開の加速
現在の海外売上比率50%を60%まで引き上げる計画を掲げています。特にアジア・北米市場での拡販を強化しており、世界的な半導体需要の恩恵を最大限に受ける体制を構築中です。
♻️ 貴金属リサイクル事業の育成
希少金属の価格高騰とサステナビリティ意識の高まりにより、貴金属リサイクル事業が注目されています。フルヤ金属はリサイクル技術に強みを持ち、この分野を新たな収益の柱として育成中。循環型経済への移行が進む中、大きな成長ポテンシャルを秘めています。
🏆 有機EL・次世代ディスプレイ
有機EL燐光材用原料で世界トップシェアを持ち、スマートフォン、テレビ、ウェアラブルデバイスなど、次世代ディスプレイ市場の拡大がそのまま業績に直結します。
📈 高い利益率
2025年6月期予想では、営業利益率21.4%という高収益体質を維持。技術力とニッチ市場での優位性により、価格競争に巻き込まれにくい事業構造となっています。
2025年6月期実績
・売上高：573.79億円（前年同期比+20.7%）
・営業利益：減益2.8%
・経常利益：減益12.2%
・薄膜部門とファインケミカル・リサイクル部門が売上成長を牽引
売上は大幅に伸長したものの、原材料価格の高騰と為替影響により利益面では減益となりました。ただし、売上成長率20.7%は非常に高く、事業そのものは好調です。
・売上高：560億円（前年比+17.8%）
・営業利益：120億円（前年比+22.3%）
・経常利益：120億円（前年比+12.3%）
・営業利益率：21.4%
原材料コスト増の影響を吸収し、増収増益基調に回帰する見込みです。
1. コア技術の強化
高純度貴金属加工技術をさらに磨き、競合との差別化を維持・拡大
2. 新成長分野への進出
・データセンター向け製品の拡充
・医療機器分野への展開
・次世代燃料電池材料の開発
3. リサイクル事業の強化
貴金属リサイクル分野を第二の収益柱として育成し、持続可能なビジネスモデルを構築
4. 海外展開の加速
海外売上比率を50%→60%に引き上げ、グローバル企業としての地位を確立
半導体メーカー、ディスプレイメーカー、自動車メーカー、化学メーカーなど、世界的大手企業との取引関係を構築。特に半導体・ディスプレイ分野では欠かせないサプライヤーとしての地位を確立しています。
1. 成長性
・売上高成長率+20.7%と高成長を実現
・半導体、EV、再生エネという成長市場に直結
・海外売上比率60%を目指し、グローバル成長を加速
2. 収益性
・営業利益率21.4%という高収益体質
・既に黒字企業で安定的な利益創出
・配当利回り2.12%で株主還元も実施
3. 技術的優位性
・有機EL燐光材用原料で世界トップシェア
・高純度貴金属加工技術による参入障壁
・半導体微細化に対応できる技術力
4. 市場環境
・AI・データセンターによる半導体需要急増
・EV・再生エネ市場の拡大
・貴金属リサイクルへの注目度上昇
・サステナビリティ重視の流れ
5. 財務健全性
・時価総額720億円と一定規模あり
・安定的な利益計上で財務基盤が堅固
1. 原材料価格リスク
・貴金属価格の変動が業績に影響
・プラチナ、パラジウムなど市況商品への依存
・為替変動の影響を受けやすい
2. 半導体市況の影響
・半導体市場の景気循環に左右される
・顧客の設備投資動向に依存
・最近の実績では利益減少も見られた
3. 競合環境
・海外勢との競争激化の可能性
・技術革新による代替材料出現リスク
4. 配当利回り
・2.12%と高配当株ではない
・インカムゲイン重視の投資家には物足りない水準
フルヤ金属は成長性と安定性を兼ね備えた優良中型株です。
【買いポイント】
・既に黒字で高収益体質（営業利益率21%超）
・半導体、EV、再生エネという成長市場に直結
・世界トップシェア製品を保有
・売上成長率+20%と高成長を実現
・貴金属リサイクルという新たな成長エンジン
・グローバル展開でさらなる成長余地
【慎重ポイント】
・原材料価格・為替の変動リスク
・半導体市況の影響を受けやすい
・配当利回りは2%程度と中程度
・直近は利益減少も見られた
【推奨投資スタイル】
中長期の成長投資に適した銘柄です。ポートフォリオのコア銘柄（15-20%）として保有するのが妥当でしょう。半導体市況の回復局面で大きく株価が上昇する可能性があります。
特に以下のような投資家におすすめ：
✓ 半導体関連銘柄を探している
✓ 脱炭素・EV関連の恩恵を受けたい
✓ 高収益・高成長の中型株を求めている
✓ ある程度の配当も欲しい（2%台）
✓ 中長期保有（3-5年）を前提とした投資
総合評価：★★★★☆（5段階中4）
半導体市況の回復を待つ形で、押し目買いのタイミングを狙うのが良策です。生成AI・データセンター需要が本格化する2025年後半から2026年にかけて、大きく株価が見直される可能性があります。